two entrance

two entrances

1999.11.7 – 11.16

    
「2つの入口」
京都精華大学 M104アートホール/京都
ミクストメディア
artist:丸谷久美子×山元ゆり子

rubber,CDcase,black cloth, color light

通路の壁に、大きなYES/NOチャートがあります。内容は簡単な自己性格診断のような質問で、答えを重ねていくと、AからFまでのタイプに振り分けられ、壁の左右にある入口の扉にたどり着きます。その入口から建物の中に入ると、黒いカーテンで仕切られた1m四方ほどの小部屋になっており、中央に白いクロスのかかった丸テーブルがあります。四方のカーテンにはそれぞれ異なる柄のマークが付けられています。丸テーブルの上にはアルミ製の薄いCD入れのような円盤がいくつか置かれており、円盤の表面には英語のアルファベット1文字が刻まれています。そして、白いクロスにも文字が書かれており、『表のチャートで行き着いた文字の彫られた円盤を開けて、中の質問にお答えください。』とあります。

円盤を開けると、底に質問が、蓋にその質問の選択肢が書かれています。

例:底「次の部屋に進みますか?」蓋「YES→〇〇の柄のカーテンの先に進み、◻︎番の円盤をお開けください。NO→この部屋にとどまり、◻︎番の円盤をお開けください。」

このような部屋が15部屋連続した構造となっており、鑑賞者は質問に答えながら、ぐるぐると似たような小部屋を行ったり来たりしながら進んでいきます。

質問の内容は最初はすぐに答えられるような簡単な質問となっていますが、進むにつれ複雑な内容になっていきます。

答え次第でいくつものルートが存在します。

質問の一例:「次の部屋に進みますか?」「何もわからないまま次の部屋に進むのですか?」「質問が怖いですか?」「どこへ進んでいると思いますか?」「そういえば貴方はこの部屋にいらっしゃるのは2度目ですね?」などなど、、、。

どのルートを進んでも、いずれ広い空間に出ます。赤い雨のようなゴムの線でびっしりと埋め尽くされた暗くて先が見通せない大きな空間です。この空間に出る直前には、それぞれの円盤から別々の言葉で、「出口を探して下さい」というようなニュアンスのメッセージを鑑賞者は受け取ります。

実際にこの大きな空間では出口を見つけるために、無限ゴムゴム空間を掻き分けながら進んでいきます。無数のゴムは進もうとする手足に絡まり、なかなか思う様に進めません。数メートル先の人が赤いゴムと暗さで、消えて見えるほどです。

この空間の最奥に一箇所だけ出口があります。出口には最後の質問がかけられています。

「これは出口ですか?それとも入口ですか?」